EtherNet/IPとPROFINETシェア 僅差に
「産業機器のネットワークへの接続は2019年も継続し、新規設置ノード数は10%増加する」という予測が、HMSネットワークスがまとめた「2019年版産業用ネットワーク市場シェア」で明らかになった。
また、グローバル市場で、産業用Ethernetが18年の新規設置ノード数の59%を占め、17年の52%から7ポイント上昇して、17年に逆転したフィールドバスとの差をさらに広げた。フィールドバスは17年の42%から35%に低下し、初めて減少した。
ネットワーク別では、EtherNet/IPが17年と同じ15%のシェアで、最も多く設置されたネットワークの座を維持したものの、PROFINETが17年から2ポイント増えて14%となり、1ポイント差まで近づいている。さらに、ワイヤレス通信技術も安定した発展を続けており、18年も17年同様6%を堅持している。
成長する産業用Ethernet
産業用Ethernetの18年の成長率は20%で、17年の22%に続き安定した成長率を示している。
ネットワーク別では、EtherNet/IP15%、PROFINET14%に次いで、EtherCATが7%(17年7%)、Ethernet POWERLINKの5%(同4%)、Modbus-TCPの4%(同4%)が続く。
HMSのハンソンCMOは「産業用Ethernetへの移行が続いているのは、高い性能に対するニーズに加え、工場設備やITシステム/IIoTアプリケーション間の統合ニーズが後押ししているためである。未だに産業用Ethernetが1つの規格に標準化されていないことがそれを示している」と分析する。
地域ごとでは、欧州および中東で、EtherNet/IPとPROFINETがリードし、PROFIBUSもまだ広く使われている。また、EtherCATとEthernet POWERLINKも普及している。
米国市場では、CIPネットワークが支配的であり、EtherNet/IPへの移行が明確となっている一方、EtherCATの市場シェアも拡大している。
アジアでは、市場をリードするような突出したネットワークがなく、PROFINET、EtherNet/IP、PROFIBUS、EtherCAT・Modbus、CC-Linkが広く使われ、Ethernet系のCC-Link IE Fieldの勢いが増している。
減少傾向のフィールドバス
一方、フィールドバスは17年に6%伸長したが、18年は初めて5%減少した。フィールドバス別では、依然としてPROFIBUSが世界市場の10%を占め、CC-Link6%、Modbus-RT Uが5%となっている。
堅調拡大するワイヤレス通信
ワイヤレス技術も、17年の32%に続き18年も30%と着実に伸長し、全市場の6%を維持。ワイヤレスの中ではWLANが最も普及しており、続いてBluetoothとなっている。
この動きについてハンソンCMOは「新しく革新的な自動化アーキテクチャーを実現するために、機械メーカーやシステムインテグレーターの間でワイヤレス通信の採用がますます進んでいる。配線の削減が可能な上、接続性や制御性に関する新しいソリューションを創出できるからだ。さらに、工場でのスマートかつフレキシブルな生産を可能にするものとして、モバイル通信技術(プライベートLTE/5Gネットワークなど)も世界的に活躍の場を広げている」としている。