サイトアイコン IoTナビ

JEMA 「製造業2030」最新版公開、将来像に向け提言

柔軟な仕組みへの活動報告

日本電機工業会(JEMA、柵山正樹会長)は、IoTによる製造業の変革と将来に関する提言書「製造業2030」の2018年年度最新版を公開した。

製造業2030とは?

「製造業2030」とはスマートマニュファクチャリング特別委員会により日本の製造業の将来に対する提言書としてまとめられ、公開されているもの。15年からはじまり、今回で4回目となる。

2030年頃の製造業の姿について、市場環境に合わせて製造プロセスを組み替え、フレキシブルにビジネス環境を構築する仕組みになると予測。それを「FBM(フレキシブル・ビジネス・アンド・マニュファクチャリング)」と表現し、政府の掲げる産業政策目標であるソサイエティ5.0やコネクテッドインダストリーズを実現する手段と位置づけている。これまで取り上げられることが少なかったビジネスをモデルに取り込むとしている点が特長となる。

FBMは、ニーズの変化に応じて最適なバリューチェーンを迅速に構築することが土台になる。そのためには、①アーキテクチャがフレキシブル、②モジュール化や水平統合ができるシステム構成や支援環境、③それをまとめ上げるコーディネータを育てることが必要とされる。これらを揃えることによって生産、輸送、金融などの様々な視点からビジネスと製造システムの評価値を求め、最適なシステムが構築でき、FBMが実現できるようになるとしている。

「製造業2030」これまでの推移

18年度版の概要

18年度の委員会では、FBMを実現するために3つのワーキンググループに分かれて具体化を検討。それらの成果が18年度版に収録されている。

WG1は、FBMの世界を記述するための概念としてFBMモデルをまとめ、モデルのUML化の検討、各要素の機能、属性などを検討している。18年度には、FBMモデルの活用法やメリットをホワイトペーパーにまとめた。今後配布する予定。またFBMモデルのエンジニアリングやシミュレーション評価などのツール化を視野に入れ,実装に関する検討を実施。今後,試作等を通じてFBMの実証環境を整えていく。

WG2では、2030年の制御盤のあるべき姿とそこに必要な技術を検討、18年度はエンジニアリングツールの調査とスクリューレス端子の普及促進、盤メーカーへの工場見学を実施した。

WG3では、コーディネータという仕組みの実現に向けた課題を抽出。企業間ニーズとシーズのマッチングの調査、製品のモジュール化を行っている工場の見学を行ったとしている。

ロードマップ

またFBM実現に向けた課題と同会のやるべきことを抽出し、同会がやるべきこととそのロードマップをまとめた。

プラットフォーム実装に関する課題について、①稼働やデータ扱いやすさ、プログラミング記載の簡易さなど言語や開発環境の整備、②情報収集の枠組みとフォーマット化、③リアルタイム通信の方法論、④対象ビューの選定を挙げた。

コーディネータ実現に向けた課題について、①フレキシブル生産のためのパートナー会社との協調環境、多様な製造方法に対する品質保証の仕組みと標準化、②イノベーションに向けた開発課題の選定やコーディネータの活動を有効化する仕組み、③シミュレーションやアジャイル開発の手法、開発テーマを複数社で行う仕組み、④コスト試算やデータ所有権、連携の仕組みなど。

適用に向けた課題について、①「製品」「エンジニアリングチェーン」のモジュール化、②日本のドメスティックな法や規格に関する国際化、③モジュールのインタフェース標準化、④コーディネータ企業とサービス提供企業を繋ぐプラットフォームの提供・普及、⑤サービス提供者の購買や設計の管理の充実、⑥コーディネータのリスク管理、⑦従来の習慣の打破としている。

課題をもとに、今後、委員会ではFBM実現に向けて3点を行っていくとしている。FBMモデルの嫌悪等とFBMコーディネータ実現に向けた環境整備など「FBMビジネスアーキテクチャの検討」と、「制御盤2030の継続」、インダストリー4.0のRAMI4.0管理シェルやIVRA/IVIM、OPCUAなど連携に関する「つなげる技術の検討」を進めていく。

出典:日本電機工業会「IoTによる製造業の変革に関する提言書『2018年度版 製造業2030』の公表について」

モバイルバージョンを終了