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富士キメラ、ソフトウエア(パッケージ/SaaS)の国内市場、23年度は39.4%増の1兆7550億円と予測

富士キメラ総研は、働き方改革の推進や人手不足対応を目的に、自動化/効率化につながる製品の需要が増加するソフトウエア(パッケージ/SaaS)の国内市場を調査した。

2023年度のソフトウエアの国内市場は1兆7550億円(39.4%増)と予測しており、働き方改革の推進などに業務やコミュニケーションの自動化/効率化につながる製品の導入が進むとしている。また、同年度のビジネスチャットは252億円(2.4倍)と予測。社内で簡易的かつ円滑なコミュニケーション/情報共有に対する需要が高まり、利用が広がると見込んでいる。

カテゴリー別に業務システム、デジタルマーケティング、情報分析、コラボレーション、ミドルウェア、データベース、運用・管理ツールの各市場について現状を調査し、将来を展望した。

調査結果の概要

■ソフトウエアの国内市場(カテゴリー別)

業務システム

大規模企業向けERP、中規模企業向けERP、財務・会計ソフトがリプレース需要により伸長する。また、業務効率化や人手不足対応などのために予算・実績管理ソフト、人材管理ソフト、勤怠管理ソフト、経費精算ソフトの導入が進み、市場は拡大する。

デジタルマーケティング

消費者との関係性を高めることや、パーソナライズ化されたキャンペーンなどを行うためにデジタルマーケティングの取り組みが本格化しており、需要が増加している。

情報分析

IoTデータ、Webログ、ソーシャルメディア上の各種情報、販売データなどの膨大なデータの蓄積が進む中、企業戦略と連動したデータ活用の需要が増加し、導入が進んでいる。

コラボレーション

働き方改革の推進により、時間や場所を選ばないコミュニケーションや作業環境の構築が広まっており、グループウェア、ワークフロー、ファイル共有サービス、ビジネスチャット、Web会議などの需要が増加している。

ミドルウェア

EAI/ESB、BPM、ETLツール、ファイル転送ツールなど、さまざまなシステムやデータと連携する製品の需要が増加している。また、システム開発や業務の自動化/効率化のためRPAツール、高速開発支援ツール、Webデータベースサービスが伸長している。

データベース

データ量増加に伴い、データベースシステムの再構築や新規構築が進んでいる。また、企業がデジタルを活用した新規ビジネスを開始する際、クラウド上で新規システム構築が進んでおり、クラウド型のデータベース導入が広がっている。

運用・管理ツール

運用管理ツールはリプレース需要が主体であるが、ITサービスマネジメントツール、API管理ツールなどでは製品の新規導入が進み、市場が拡大するとみられる。

■ソフトウェアの国内市場(パッケージ/SaaS別)

ユーザー独自の業務プロセスの実装が可能である個別開発システムのニーズは底堅いものの、個別開発システムからパッケージへの移行が進み、市場は拡大してきた。近年、初期導入費用の抑制や、外部サービスとも柔軟に連携できるなどのメリットから、SaaSの導入が進んでいる。今後もSaaSの比率が増加し、2023年度には46.6%になるとみられる。

注目市場

ビジネスチャット

SaaSで提供される、気軽にテキストベースのコミュニケーションを実現するサービスを対象とする。

社内で簡易的かつ円滑なコミュニケーションや情報共有に対する需要が高まり、ビジネスチャットの利用が広がっている。多様な業種/従業員規模の企業で導入が進んでおり、全社員にPCがない環境でもスマホなどで利用することができ、需要が増加している。近年では、単なるコミュニケーションツールではなく、業務効率化や機能性の向上を目的に、勤怠管理ソフトや経費精算ソフトなど様々な製品との連携を各ベンダーが進めており、ビジネスチャットを軸に、様々なソリューション提供が進むとみられる。

RPAツール

RPA(Robotic Process Automation)ツールは、ソフトウェアロボットがサーバー側で稼働するRPA型とデスクトップ上で稼働するRPA型、ブラウザー操作に特化して稼働するブラウザー型に分類され、それら全てを対象とした。

労働者人口減少(人手不足)や残業時間の見直しなどにより、業務効率化のニーズが高まっている。入力業務などを自動化することで作業効率向上や、人的コストの低減などにもつながることから導入が進み、市場が拡大してきた。2018年度は以前から試験的に活用していたユーザーの本格的な導入、また、新たにRPAツールの活用を検討する企業が増加、導入が進んだことから、市場は拡大した。今後はチャットボットをはじめとしたAI関連製品との連携や、プロセスマイニングツールによりユーザーの業務プロセスが可視化されRPAツールを導入すべき業務の選定が効率的に行われることから、導入が進むとみられる。

経費精算ソフト

経費精算ソフトは、交通費や交際費、出張費などの経費を処理するための申請、承認、精算といった一連のフローを電子化し、経費精算における業務効率化を支援する製品である。

これまで専用製品の導入は限定的であったが、交通費精算などの経費精算に特化しているため機能性に優れていることや、連携機能の充実により利便性が向上したことで導入が進んでいる。また、製品の認知度が向上したことや、働き方改革の推進に伴う申請/承認作業の時間削減需要の増加により、ERPやワークフローなどの経費精算機能を利用していた企業が専用製品の利用へ移行したことや紙申請を行ってきた企業の新規導入が進んだことが、市場の拡大に寄与した。今後も引き続き、働き方改革を実現する製品として市場は拡大するとみられる。

人材管理ソフト

従業員の採用や教育、配置、評価といった一連の人材活用プロセスを管理・支援する製品を対象とする。

人事・給与ソフトのオプション機能として提供されるケースが多くみられたが、2017年度以降、働き方改革の推進や将来的な労働者人口の減少が懸念される中で、人材採用/育成や人事評価業務の効率化、質の向上に注力する企業が急増したことから導入が進み、2019年度は2018年度比23.0%増が見込まれる。2020年度以降も、採用、教育、育成、人事評価の効率化/品質向上ニーズは高まるとみられ、市場は拡大するとみられる。

勤怠管理ソフト

勤務スケジュールの作成、出勤/退勤時刻の入力・修正、労働時間の把握、休暇管理、残業時間/有給休暇日数管理など、企業における従業員の勤怠/就業データを管理する製品を対象とする。

2016年頃から長時間労働、サービス残業などの労働問題が多く報道されたことで、働き方改革の推進や労働関連法規の遵守が企業に求められるようになったことから、勤怠管理ソフトへの注目度が高まった。中堅/中小企業では、従来タイムカードや紙、Excelでの勤怠管理を行う企業が多く、勤怠管理ソフトを導入している企業は限定的であったが、2019年4月以降、「働き方改革関連法」への対応により導入が相次いだことで市場は拡大している。未導入企業は多いため、2020年度以降も市場は拡大するとみられる。

 

<調査対象>

<調査方法>
富士キメラ総研専門調査員によるヒアリングおよび関連文献、データベース活用による調査・分析

<調査期間>
2019年3月〜7月

出典:富士キメラ総研「ソフトウエア(パッケージ/SaaS)の国内市場を調査」


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