川崎重工業ら3社、スマートファクトリーの実現に向けローカル5G実証実験を開始

川崎重工業、ベニックソリューション(川崎重工グループ)、オプテージの3社は、ローカル5G(自治体や企業が独自に構築できる第5世代移動通信システム)の実証実験を川崎重工播磨工場で実施するため、予備免許を取得した。

実験試験局の本免許取得の準備を進め、2020年10月からスマートファクトリーの実現に向けた実証実験を開始する。

 

近年、IoT 技術を活用して工場内の機器や作業者のデータを取得し、これらを分析・利活用することで新たな付加価値を生み出せるようにするスマートファクトリーが注目されている。そのスマートファクトリーにローカル5Gを活用することで、工場内ネットワークを柔軟かつ効率的に構築することが可能となる。

ローカル5Gの特長とされる3つの基本性能は下記の3つ。
(1)高速大容量
(2)超低遅延
(3)多数同時接続

これらの機能はユーザニーズに合わせてカスタマイズすることができ、生産現場で効果的に利用することで生産性の向上に貢献する。

 

今回の実証実験で3社は、ローカル5Gに関する活用ノウハウや利用技術の獲得を目指し、川崎重工播磨工場で運用中の遠隔操縦で熟練作業者の動きを再現する研削・バリ取り・表面仕上げ用ロボットシステム「Successor®-G」において、高精細画像の無線伝送による操作性の検証などを行う。

今後ローカル5Gを積極的に工場内へ導入することで、将来的には無線による遠隔操縦で各種作業が可能になり、人口減少による労働力不足への対応、労働者の職場環境の改善、熟練作業者の技能伝承等の効果が期待される。さらにコロナ禍で急速に需要が高まったリモートワークを工場の生産現場へも適用するリモートファクトリー化も推進していく。

 

実証実験における3社の役割

・川崎重工:プロジェクト統括、播磨工場内試験設備の構築、実証実験、検証
・ベニックソリューション:播磨工場内ネットワークおよび情報システムの構築
・オプテージ:ローカル5Gのコア・無線設備の構築、運用、電波伝搬等の試験

※ 無線局はローカル5Gの技術的条件に準拠した「実験試験局」で実証実験を行う。8月7日に受領済みの「無線局予備免許通知書」に基づき、実験試験局の本免許取得に向けて準備を進めている。

 

1.実証実験 【工場内の遠隔操作】
播磨工場内にローカル5Gの設備を設置し、高精細画像の無線伝送や「Successor®-G」の遠隔操作に取り組んでいく。

2.将来適用例 【工場間の遠隔操作、工場と建設現場間の遠隔操作】
将来的にはローカル5Gの設備を設置した工場間や、工場と建設現場間を高速の光通信で接続し、遠隔地の「Successor®-G」を操作することが期待されている。

■川崎重工業
■ベニックソリューション
■オプテージ