NECファシリティーズ、IoT・AIを活用した生産工場におけるインフラ設備の故障予兆検出システムの実証実験を開始

NECファシリティーズ(東京都港区)は、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの西条工場と川尻工場で、IoT・AIの有効性を検証する実証実験を開始した。

NECファシリティーズは、約60年におよぶNECグループの半導体工場やデータセンタの建設、環境管理および施設管理で培った、工場を止めない高度な知見や省エネルギー技術を活かして、生産設備を支えるインフラ施設の運用管理をユーザーから受託し、約100か所の拠点に常駐している。また、運用管理から得られる情報に基づく設備更新計画の策定支援や災害対策の提案などを行い、製造ラインの安定稼働や効率的な運営を支えている。

 

今回の実験では、これまで手作業で測定していたポンプ・ファンなどの回転機器の振動・温度データを、IoT化したセンサを用いてリモートで継続的に取得。加えて、新たに実験用のポンプを設置し、疑似的に故障させてデータを収集、これを学習データとして積み重ね、独自のAI判定システムを構築する。 これらにより、データ収集作業の効率化と、故障予兆検出精度の向上を実現。

また、人による異常検知のきっかけである異音の検出をデジタル化するため、多数のインフラ設備が設置されている機械室に騒音測定器を置いて、音響による異常検知を行い、早期に異常を検出する実験も同時に実施する。

これらにより、保全作業におけるデータの収集及び分析に要する時間を、従来の人手で実施していた場合と比較して約20%低減できると想定しており、短時間かつタイムリーに設備の不具合を検知して、製造ラインの緊急停止など生産への影響が甚大なトラブルを事前に予防し、より一層の安定稼働に貢献する。

また、これまで培ってきた施設の運用管理ノウハウとIoTによる異常検知を組み合わせることによって、より適切なタイミングで適切な対策を実施することができ、設備の突発的な停止の防止にも貢献するとしている。

今後は、NEC DX Factory(注)と連携し、施設管理のさらなる高度化を推進して、2020年度下期には同実証実験の結果を受けた商用システムをリリースする予定。同システムの導入により、一拠点当たり数千のセンサからの自動データ収集が可能となる。

 

【実験の特長】

1.設備故障時に生産への影響が大きいにもかかわらず、設備メーカーが管理していないポンプ、ファンなどの設備をNECファシリティーズのノウハウで選定し、異常検知を実施。

2.これまで1カ月から数カ月に1回の周期で測定していた振動・温度データの収集間隔を、1時間に1回へ短縮し、異常検知までの時間を大幅に短縮。

(注)NEC DX Factory

設計~製造~出荷~物流までの全てのプロセスにおいて、すべてのモノ(モノ、人、設備)をデジタル化。バーチャルでシミュレーションを行い、フィジカルにフィードバックし、ヒトと協調しながらロボット・生産設備を自律制御することで、ものづくりの革新を実現するというコンセプト。

出典:NECファシリティーズ「IoT・AIを活用して生産工場におけるインフラ設備の故障予兆検出システムの実証実験を開始」