住友ベークライト、NECと共創 デジタル化で生産効率20%向上を実現

住友ベークライトは、NECと生産技術のデジタル化に向けて共創し、製造工程にAI、IoT等の最先端のテクノロジーを導入することで、製造工程の自律制御を実現した。

同社は、国内基幹工場の主力生産ラインで、デジタル化による生産効率20%向上を実現し、国内の他の生産拠点・生産ラインへの展開を図り、さらに、海外拠点への導入に向けた環境整備を進めていく。

少子化による生産年齢人口の減少に伴い、ものづくりの現場では、人手不足が深刻化している。また、熟練技術者の高齢化が進む中、技術、経験、ノウハウを伝承するとともに、ICTを活用しこれらを見える化していくことが急務となっている。

このように、製造業ではデジタル技術の活用で業務の変革を進めていくことが喫緊の課題となっており、同社では、NECと共創し、静岡工場等の国内主力4工場内の装置の稼働情報等をIoTを用いて可視化するとともに、AIが各工程における制御ルールを分析することで、従来難しかった機能性化学品のバッチ連続型生産ライン(注1)におけるデジタル化を実現した。

生産技術のデジタル化のイメージ


生産技術のデジタル化の特長

1. 通信規格の異なるデータの収集

■特定ベンダーにとらわれないオープンで自由なものづくりを支援するEdgecrossコンソーシアム(注2)が普及推進するエッジコンピューティング領域のソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」を活用することで、異なる装置メーカの出力情報について、通信規格の差異を吸収。複数種類のデータを工場全体で分析できる環境を構築

AIを活用したデータ分析と異常の見える化

■製造工程各所に取り付けたセンサーを通じて、装置の稼働情報、品質に係る評価情報等を収集し、自動的に分析。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(注3)の一つである「インバリアント分析技術」(注4)を用いることで、リアルタイムに得られる計測データからいつもと違う異常を発見し、その違いを数値化

AIを活用した制御ルールの設定

■運用上規定されている装置の制御ルールに加えて、AIを活用することで、熟練技術者の経験に裏打ちされていた装置制御に関する暗黙知を制御ルールとして見える化して登録し、製造工程の自律制御と品質の安定化・向上に貢献

住友ベークライト静岡工場

(注1) バッチ連続型生産ライン
一定数量(バッチ)を品目ごとに連続して生産する方式
(注2) Edgecrossコンソーシアム
世界をリードする企業がFA・ITの枠を超えて多数参加する非営利の組織。FA・ITといった産業分野を超えて、IoTのオープンな進化のために協働し、特定ベンダーにとらわれないオープンで自由なものづくり改革を支援。
https://www.edgecross.org/ja/
(注3) 「NEC the WISE」
「NEC the WISE」(エヌイーシーザワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称です。”The WISE”には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いが込められている。
・プレスリリースNEC、AI(人工知能)技術ブランド「NEC the WISE」を策定
https://jpn.nec.com/press/201607/20160719_01.html
・NECのAI技術
https://jpn.nec.com/ai/
(注4) インバリアント分析技術
大量に収集したセンサデータの中に埋もれている、システムの特徴を表す普遍的な関係性(インバリアント)を、対象プラント・システムのドメイン知識に頼らずに自動的、かつ網羅的に抽出して、モデル化し、モデルと一致しない「いつもと違う」挙動をサイレント障害として検知するAI技術。
https://jpn.nec.com/ai/analyze/invariant.html

出典:「住友ベークライト、NECとの共創。AI、IoT活用で、生産効率20%向上」