矢野経済研究所、2024年の産業用センサー(環境センシング関連)世界市場1兆4,540億円と予測

矢野経済研究所は、産業用センサー(環境センシング関連)世界市場を調査し、種類別や参入企業各社の動向、将来展望などを明らかにした。

 

▼産業用センサー(環境センシング関連)世界市場規模予測

1. 市場概況

近年、環境問題への取り組み活発化やIoT技術の進展、産業機器の高性能化などの流れの中で、環境センシングに対する注目度は高まり、産業用センサーの需要が拡大しつつある。

同調査は主に各種環境を計測する産業用センサーの中から6種類のセンサーを対象とした。2020年の産業用センサー(環境センシング関連)世界市場規模を、メーカー出荷金額ベースで前年比92.3%の1兆1,360億円と予測。

6種類の構成比をみると、ガスセンサーが最も大きく、出荷金額(2020年)全体の約35%を占めている。次いで磁気センサーは約20%、以下UVセンサー、環境光・調光センサー、微粒子計測・PMセンサー、湿度センサーの順となっている。

2. 注目トピック

車載用磁気センサの動向

近年、車載用センサーの搭載数が増加しており、リードスイッチを含めると2019年には大衆車クラスでも1台当たりの搭載数が平均75個前後(ブラシレスDCモーター用ホール式センサーは除外)に達したものと推計する。

そのうち、50%以上が磁気センサーとみなされるが、これにブラシレスDCモーター用の磁気センサーを含めると、1台当たりの磁気センサーの搭載数は60個以上に達する。

車載用磁気センサーのタイプ別内訳はホール式センサーの比率が高く、金額ベースでも全体の59.2%(約610億円)を占めている。以下、MR式センサーが同26.2%(約270億円)、リードスイッチが同10.7%(約110億円)、フラックスゲート式センサーが同3.9%(約40億円)となっている。

​今後はMR式センサーのシェアが漸増する見通しだが、リードスイッチ以外はどのタイプでも非接触型で耐久性もあるため、電装化率が一段と進展する中で引き続き磁気センサーが重要な役割を果たすものとみられる。

3. 将来展望

今後、環境意識が高まる中で環境センシングへの需要は拡大すること、IoT関連技術に加え、車載用や産業用機器の高性能化が実現することなどから、2024年の産業用センサー(環境センシング関連)世界市場規模を、メーカー出荷金額ベースで1兆4,540億円に達すると予測。すでに1兆円を越える大きな市場であるが、2019年から2024年までのCAGR(年平均成長率)は3.4%になる見通しである。

種類別にみると、成長率が一番高い磁気センサーの2019年から2024年までの年平均成長率は5.6%に達する見通し。ガスセンサー市場は、車載用や産業機械用の高精度化要請に対応して、さまざまな新型製品が登場する見込みで、2023年頃から新たなステージに移行すると思われる。

一方で、2019年から2024年までの年平均成長率が最も低いのはガスセンサーで2.0%。ただ、ガスセンサーは市場規模としては6市場中一番大きく、4,000億円を超えている。また、「2030年までに地球温暖化ガスを1990年比で40%削減する」目標を掲げた2016年のパリ協定の影響により、製造業全般でCO2監視ニーズが高まり、既にCO2センサーの需要は世界的に増大している。

また、車載用センサーの分野でも排ガス規制が一段と強化される中で、環境汚染ガスの代表例とされる窒素酸化物(Nox)の排出量を低減する排ガス用酸素センサーやNoxセンサーの需要が増大して、大きな市場を形成するようになっている。

 

出典:矢野経済研究所「産業用センサー(環境センシング関連)に関する調査を実施(2020年)」