「これさえ入れておけば始められる」。そんな謳い文句のIoTツールは多いが、実際の工場は各社各様。しかも日々の改善で変化し成長していく。IoTはそれを見込んでおかないと、将来は陳腐化して使えないものになりかねない。NTC(東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス18階)は、IoTに必要な一連の技術を持ち、企業の要望に合わせたIoTシステムを構築可能。大規模から中小まで規模を問わず、比較的安価に提供できるのが強みだ。
半世紀以上にわたるIoT基盤整備の実績
同社は1960年設立。発展途上国(東南アジア、中近東、アフリカ諸国)における通信網構築のコンサルティング事業を目的としてスタートした。携帯電話の黎明期である30年前、移動体通信向けのシステム開発を請け負うようになり、通信ネットワークの技術を蓄積。半世紀以上にわたるIoT関連の基盤技術の実績があり、プラスアルファでデータベースやビッグデータ分析の技術を持つ。IoTの基盤整備からAIを使った予兆保全まで、顧客の要望に応じた最適なIoTを構築できるのが強みで、現在IoT事業に注力している。
製造現場は千差万別。要望もそれぞれ異なる
製造現場にIoTを導入した場合、その構成要素は4つある。
1センシング/通信
2データ収集/加工
3予測、検知
4通知/見える化
これが基本であり、どんな製造現場であっても共通だ。しかし製造現場は各社によって千差万別。
作る製品が違えば、その製造装置はもちろん生産ラインも変わる。工場内ネットワークや情報システムに強い組織や人材の有無、経営状況によっては設備投資にかけられる予算も異なる。またIoTへの対応度合い。例えば既存設備にセンサは取り付けてあり、ネットワークを通じてデータベースにデータが貯まっている企業と、まったくの未導入で、データは取っているが蓄積していない企業がある。さらに、すべてのデータをクラウドに上げ、レポートだけ受け取る形で運用したいという企業と、それではデータ活用のノウハウが貯まらない、セキュリティが心配だから、オンプレでデータを貯めて自分たちで分析はやりたいという企業もある。単純にイチからパッケージ製品を入れれば良いというケースばかりではないのが実態だ。
同社はこれまでのシステムインテグレータとしての経験から、そうした状況を熟知し対応ノウハウも保有している。IoTにおいても、各社がどのような状態、どんなレベル感や予算感で、IoTに何を求めていたとしても、あらゆる選択肢から各社に最適なシステムを選び、構築できるのが強みだ。ベースとするシステムや機器構成は持っているが、それにこだわることなく、顧客の要望に応える。そんな姿勢が大手製造業を中心に信頼を得ている。
センシングからAIを使った予兆保全まで
1センシング/通信では、既存設備の稼働や電流データを集められる電流センサーキット、PLCログ収集キット、HD—PLC通信キットを揃え、センサから通信網構築まで可能。
2データ収集/加工に関しては、さまざまな種類のデータソースから接続してデータを集め、クレンジングやデータ正規化・連結、グルーピングなどデータを加工・変換し、クラウド連携とデータベース構築なども対応している。
4通知/見える化ではBIツールを使い、工場内設備の状態を確認でき、設備詳細を見える化できる。メール通知やパトランプ通知など通知方法も複数に対応できる。
特長的なのが3予測/検知。同社は製造トラブルを自動検出し予兆保全を可能にする「LOSSO」を開発し、AIのスモールスタートを支援している。過去のデータから、トラブルを検知するルールを作り、以降の設備データからトラブルの予測を実施。トラブルの予兆を検知したらメールやパトランプによる通知で早期のトラブル発見や予兆保全を実現している。
今後についてビジネスアナリティクス事業部佐藤城太担当課長は「見える化から分析まで、大手製造業を中心に数十社ほどの実績がある。LOSSOを使って予兆保全をスタートするようなケースも増えてきている。また自社にカスタマイズしたいという声が非常に多い。そうしたニーズに寄り添っていく」と話している。