今回のテストベッドの目的は、TSNと呼ばれる新しいEthernet IEEE 802規格が、生産ライン向けのアプリケーションにどのようなメリットをもたらすかを示すことにある。
TSNは、標準的でオープンな接続を推進し、複数のベンダー間での相互運用性やシステム統合を実現。この技術はリアルタイム制御や同期にも対応する。例えば、同一のEthernetネットワーク上で、モーション制御と産業用ロボットを同時にリアルタイムに制御することや、同期を取ることができるようになる。
さらに、生産ライン向けアプリケーションによくあるデータ転送量の問題も解決できるため、IT技術とオペレーション向けの技術の統合が進めることができる。かつては、リアルタイム制御用のアプリケーションの多くが、独自規格のネットワークや、インターネットに接続されていないネットワークを使って実装されていたため、遠隔地からのデバイスやデータへのアクセスは非常に困難だった。それに対しTSNは、デバイス同士の接続性の向上や、最新技術の導入を促進するなどのメリットを提供する。また、TSNは、インターネットに接続されたスマートなシステムやマシンを使用した新たなビジネスモデルの実現への貢献や、ビッグデータ解析によるオペレーション改善といった、IIoTの実現に必須となる重要データの有効活用が期待されている。
以下は各社のコメント
IICエクゼクティブディレクター Richard Soley博士のコメント
テストベッドで行われる内容
- 重要な制御トラフィック(OPC UAなど)とベストエフォート型のトラフィックの流れを、共通のネットワーク(IEEE 802.1 TSN規格に準拠)にまとめる
- 標準Ethernetを使って、TSNのリアルタイム機能とベンダー間での互換性を実証する
- TSNの安全性を評価し、TSNの初期性能として、どの程度保証できるかについてフィードバックを行う
- IIoT向けに、高性能なアプリケーションと遅延に厳しいアプリケーションを統合できる能力を提示する
- リアルタイムのスマートエッジクラウド制御システムをIIoTインフラやアプリケーションに統合できることを示す
Bosch Rexroth社エンジニアリング/製造部門バイスプレジデント(エレクトリックデバイス/コントロール担当)Ralf Koeppe氏のコメント
「自動化ソリューションを動作させ、制御するには、標準化されたオープンな通信方法が鍵となります。Bosch Rexroth社では、ベンダー間の相互運用性を高め、IIoTインフラ内でのデータのやり取りを改善する上で、IIC TSNテストベッドが大きな役割を果たせるものと考えています。」
KUKAグループ チーフテクノロジオフィサー Christian Schloegel氏のコメント
「今回のIIC TSNテストベッドは、我々KUKAにとって業界のリーダー企業と協力して分散型のリアルタイム制御システム向けの標準技術を策定する機会であると捉えています。『Fog Computing』 とも呼ばれるエッジクラウドコンピューティングに必要な技術であると考えています。TSNにOPC UAパブリッシュ/サブスクライブ機能を持たせたものが、インダストリー4.0の中心的要素になると考えています。」
TTTech共同設立者兼理事 Georg Kopetz氏のコメント
「Deterministic Ethernetの先駆者として、IIC TSNテストベッドに関われることを嬉しく思います。Time-Scheduled Networkや、リアルタイム制御などの分野での20年以上に及ぶ経験をIICで生かし、IIoTの実現に向けた標準のオープンプラットフォームを他の業界リーダーたちと構築できることを楽しみにしています。」
このテストベッドの詳細は
http://www.iiconsortium.org/time-sensitive-networks.htm
日本ナショナルインスツルメンツ、インダストリアルIoTを支える次世代ネットワーク規格のIIC TSNテストベッドを発表
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